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王位継承の巻

●大和(ヤマト) :王子。
●香月(カヅキ) :従者。
●樹里(ジュリ) :開発者。
●杏(アンズ)  :戦闘マシン。
●???(???):王子の影。
●ナレーション  


ナレ:とある小さな小さな国。
   そこには内乱も、戦争すら知らない王子がいました。
   そんな王子が耳にした「殺人兵器の侵略」の噂…。
   彼は従者であり、教育係の者と下界へと向かい、
      噂通りの兵器とその開発者に出会い、
      果敢にも戦いを挑むのであった…。

 

大和:はああああああああ!!

杏 :効かない…。

大和:くっ…!

樹里:あはははは、世話ないねぇ、
   この程度の攻撃で、
   わたしが作った兵器に敵うとでも思ったの!

香月:大和様、ここは引いてください!
  M:(やはり大和様の技量ではこれが限界…
   戦わせるにはまだ早すぎる相手だったか…!!)

大和:いや!俺は戦う…!
   勝てる!絶対に…うわぁっ!!

杏 :特殊機能発動…敵ターゲットを包囲…
   撃ちます…!

香月:危ないっ!!!

-香月、大和を庇う-

大和:香月・・・香月!大丈夫か、香月!!

香月:わたしを気にしている場合ではない…
   来ます…!

杏 :ターゲット、再び捕捉…照準合わせます…

樹里:その男さえ殺せば、我々の資金が増える!
   屍だけ残せばいい、
   それさえあれば手配と照合できるからね!

ナレ:王子である大和は虎視眈々とその王座後継者として
      その首を狙われているのだ。

杏 :撃ちます…!

香月:大和様!!!!!

大和:うわああああああああ!!

樹里:なんだ、何が起こっている…!?
   砲弾が、跳ね返されているだと…!?

-精神世界-

大和 :ここは…どこだ…?

???:よう、
    随分とボロボロになってるじゃねぇか。

大和 :誰だ!!

???:お前、死にてぇのか?
    あんな真正面から、
    力んで飛び込んでどうなるってんだ?

大和 :なんだと…!?
    それ以外に何の術があったっていうんだ…!

???:あのなぁ…馬鹿正直すぎんだよ。
    もっと姑息な戦い方もしやがれ。
    そうしなけりゃ勝てねぇ戦いだってあるぞ?

大和 :姑息なって…どうすれば…!?

???:頭使ってみろ。
    相手はどうしてから攻撃してた?

大和 :照準をあわせて、兵器で包囲されて…

???:包囲されるまでの時間、
    お前は何もできねぇのか?
    本当馬鹿だよ、お前。
    ま、せいぜい頑張れよ。
    じゃあな。

-現実、一瞬時が止まり、大和の意識がかえってくる-

杏 :撃ちます…!

大和:はっ!!

杏 :前…見えない…!

樹里:砂煙だと!?
   馬鹿な、
   それごときで杏の攻撃が妨げられるとでも…

香月:大和様!大和様!?大丈夫ですか!?

樹里:杏、やりな!

杏 :了解…!
   熱感知…照準合わせます…!

大和:ただ撃たれてるだけじゃないぞ!!

杏 :また…!
   私には効かない…!
   包囲!!
   
樹里:そうよ、
   お前にそんな姑息な技効かないだろう!?
   やっておしまい!

大和:くそ…効かないか…。

香月:大和様ー!!!
  M:(ちっ…!!
   やはり砂煙のような子供騙しで惑わされるほど
       敵も甘くない…!!
    どうするおつもりですか、大和様…!!!)

杏 :撃ちます!

大和:ぐああああああああ!!

樹里:顔は潰すなよ?
   手配と照合できなくなるからねぇ!

ナレ:砂煙に紛れて殺人兵器「杏」に接近を図る大和。
   その時大和が肌身離さずつけていたネックレスが光る―――…

 

-香月、大和に駆け寄る-

香月:大和様、大丈夫ですか…!?

大和:ん…?これは…?

香月:母上様からの、贈り物の…?
   そうか、相手の攻撃は光!
   反射させれば当たるはずがない!!

大和:そうか、母上様…
   俺を守ってくださっているのですね…!
   いくぞ!!!

樹里:杏の攻撃が効かない…だと…!?
   そんな馬鹿な!

杏 :どうして…!?

香月:そうと解れば…!
   大和様、いきますよ!

大和:よし!うらああああああああああ!!

-大和、杏の腹部を貫く-

杏 :くっ…ごめんなさい…
   負けて…しまいました…。

樹里:なぜだ…!?
   わたしの作った完全なる兵器に
   穴などないはず…!

大和:これだよ!

-そう言ってネックレスを取り出す-

大和:母上様の形見、俺を守ってくれるとは…!

香月:大和様の王国は鏡を祀る王国、
   鏡はいわばお守りの代わりなのです!

樹里:ええい、黙れ黙れ!!!
   解った、お前たち、
   わたし直々に駆除してやろう…!
   ただし、顔まで綺麗に残るとは思うな…
   わたしは手加減が苦手でねぇ…!

大和:勝てたんだ、こいつにだってきっと勝てる!

香月:気の緩みは禁物ですよ!来ます!

大和:ああ、解ってる!!
   
樹里・大和:はああああああああああああ!!

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