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毒入りスープ

1:はじめに
このシナリオは『クトゥルフの呼び声』
に対応したものです。
シナリオの舞台は小さな密室となります。
時代、季節は自由に決めて構いません。
プレイヤーキャラクターは1~3人くらいを推奨します。
推奨技能は目星と図書館です。
余裕があれば医学か薬学を取っておくといいかもしれません。
職業が医者であればそういった技能は取りやすいので、推奨職業にしてみましょう。

 

2:あらすじ
探索者はある日の夜、
目を覚ますと正方形の部屋に
閉じ込められていました。
その真ん中には、
机の上に乗った真っ赤なスープが一
つぽつんと置かれています。
そして椅子の上にはこの部屋の地図と、
毒入りスープを飲め、という警告文。
知らず知らずの内にチャウグナー・フォーンの気まぐれによってこの世界に閉じ込められた探索者達。
彼等は無事、この世界から抜け出すことが出来るのだろうか?

 

3:最初の部屋
探索者達は何でもない平凡な日々を贈る中、
ある日の夜に突然目を覚まします。
目を覚ますとそこは、
壁も床もコンクリートで出来た
四方に扉のある正方形の部屋です。
この時点での探索者は丸腰で、
着ている衣類は全て
白いローブのようなぼろきれで、
他には何もありません。
財布やケータイなどは勿論、
普段身につけているアクセサリーなどもありません。
そして不思議な事に探索者同士は
この世界の中では、
外国人であったとしてもお互いが
共通の言語で喋っているかのように感じるでしょう。
天井の薄暗い豆電球だけが部屋を照らし、
真ん中には古い木製の長机と椅子が一つあります。
更に机の上には木製の器に入った、
赤い無臭のスープが一つ。
そして椅子の上には、
古い紙切れが二つ落ちています。
内容は以下の通りです。

~帰りたいなら 一時間以内に 毒入りスープを飲め。
 飲むまでは 君じゃあここから 出られない。
 一時間以内に 飲めなかったら お迎えが来るぞ~

ここで記されているお迎えというものは、チャウグナー・フォーンが活性状態になり、探索者を襲い始める事を指しています。
活性状態になってしまったら、もう毒入りスープを飲んでも手遅れとなります。
キーパーはなるべくスープの熱などで時間がどれだけ迫っているかを伝えてあげましょう。
ちなみにオンラインセッションの場合なら、本当に一時間でクリアするのは無理に等しいでしょう。
なのでキーパーがそれぞれ、経過する時間を前もって決めておきましょう。
基本的な数値は、真ん中の部屋から別の部屋に行ってしっかり調べ物をして、また戻ってくるのに10分かかるものとします。
そしてもう一つには、この部屋の地図を思わしきものが記されています。
最初の部屋は『スープの部屋』、北の部屋は『調理室』、南の部屋は『礼拝室』、西の部屋は『書物庫』、東の部屋は『下僕の部屋』と記されてます。
ここで《目星》ロールに成功すると、文が書かれてる方の紙の裏にも文字が記されていると気付きます。
内容は以下の通りです。

~暖かい 人間の 血の スープ 冷めない 内に 召し上がれ~

この文を見て、探索者が《アイデア》に成功すると、スープの部屋の真ん中にある赤いスープは人間の血でスープであるという事が事実であるように思えます。
成功者だけは途端に鉄錆に似た悪臭がスープから込みあがるのを感じますが、それ以外の探索者は実際に教えてもらわない限りはこの臭いを感じ取りません。
この事実に気付いた探索者は自身の想像力から生まれた不安感から0/1d4の正気度ポイントを喪失します。
それ以外にもスープに大して《医学》ロールを試みる人がいればこの事実に気付けるかもしれません。
その場合に起こる正気度喪失もアイデアと同じですが、アイデアの場合とは違い専門知識を持っているからこそ得られる確信からの喪失となります。
またこのスープが血のスープである事を知らずに飲んだ場合は、スープに対して《アイデア》ロールをする事になります。
失敗した場合はそのドロリとした気味の悪い感触と味に1/1d3の正気度ポイントを喪失し、成功すると1d3/1d8の正気度を失います。
事実を知った上で飲んだならば、1/1d6の正気度喪失となります。
ただしそのままの時点ではスープを飲んでも、死に至ることはありません。
このスープにはまだ毒は入っていないからです。
もし毒のない状態でスープを飲み干してしまったのならば、誰かが新しいスープを補充しない限りは打つ手が無くなる事でしょう。
スープに補充させる血は、最低でも耐久力が3は減るだけ必要です。
またスープは暖かく、時間が経つ事に冷めていきます。
これは時計のないこの世界でのタイムリミットの目安確認として役立つかもしれません。

 

4:東の部屋
東の部屋は、錆びた鉄で出来た扉となっています。
中には下僕の女の子がいますが、《聞き耳》ロールをしても、中から物音は全く聞こえません。
誰かが入ってくるまで女の子は微動だにしないからです。
扉は鍵がかかっていますが、《鍵開け》ロールをしなくても力づくで開けられるほど脆いものです。
扉のSTR5に対抗して勝てば、扉は難なく開くことが出来ます。
中には灯りが全くなく、更に中央の部屋も豆電球の光は届かないので、《目星》ロールにマイナス補正がかかることでしょう。
扉を開けた時点で《聞き耳》ロールに成功したならば、ひたひたという足音が中から近づいて来てるのに気付くでしょう。
中央の部屋まで足音の主を惹きつけるか、《目星》ロールに成功するとそれが十代後半くらいのやつれた女の子だと気付きます。
女の子は探索者と同じ白いローブを着ていますが、それは血に塗れていて片手には拳銃を握っています。
とても虚ろな目をしたアルビノの女の子ですが、探索者達にとても忠実です。
感情もそれなりにあり、言われたことには何でも従います。
ただし会話は出来ず、頷いたり首を振ったりなどの簡易的な意思表明しか出来ません。
彼女がいた部屋を《目星》ロールなどでしっかり確認してみると、中に紙切れがあるのに気付くでしょう。
ただし一緒に、頭のない男性の遺体を発見してしまいます。
これを見た探索者は1/1d4+1の正気度ポイントを失います。
紙切れの内容は以下の通りです。

~それは 名前もない 貴方の 下僕です。
 言われたことは 嫌でも 絶対に 従います。
 無口だけど 人懐っこい 良い子なので 可愛がって あげてください~

紙の内容の通り、彼女は言葉を喋らず探索者達にとても忠実です。
更に餌をねだる子猫のように、命令されない限りは擦り寄ってついてきます。
しかし血のスープを飲めだとか、死ぬかもしれない行動をしろなどと言われたら明らかに怯え震えます。
ですがそれでも、彼女は従わないという事は必ずありません。
ただしここから脱出させろ、とかこんな事をした元凶を呼び出せ、などという無理難題を命じられた場合は、首を横に振って無理だという意思を示します。
女の子のステータスは以下の通りです。


~絶対的に忠実な少女~
下僕の少女 ♀ 放浪者 17歳
STR:4  DEX:5  INT:10 アイデア:50
CON:6  APP:13  POW:10  幸 運:50
SIZ:10 SAN:0 EDU:6 知 識:30
H P:8  M P:10  回避:10  ダメージボーナス:-1d4
――――――――――――――――――――――――――
[技能]
目星:55% 聞き耳:55% 忍び歩き:40%
隠れる:40% 応急手当:50% 中国語(母国語):40%
追跡:50% 探索者達の母国語:31% クトゥルフ神話:15%
――――――――――――――――――――――――――
[持ち物]
・武器
22口径ショート・オートマチック:20% (1d6 10m 1R3 装弾数6 耐久力6)
・防具
血まみれの白いローブ

[プロフィール]
少女は可能な限りならどんな命令にでも従います。
例え本人が嫌でも、従います。
彼女がもし死んだならば、探索者がどれだけ彼女に対して感情的だったかによって正気度ポイントの喪失量を変えましょう。
最低でも0/1d3の正気度喪失が発生します。


ちなみに、頭のない死体を作ったのが誰か聞いてみると、彼女は首を傾げます。
この頭のない死体は、彼女が作ったわけではないからです。
この少女は、現実には存在しないチャウグナー・フォーンが作った探索者達を惑わせるための仮想の存在です。
しかしキーパーの裁量次第では、この少女がどこかで実在する事にしてみても良いかもしれません。
その場合は前もって名前を決めておいたり、探索者達に名前を決めさせても良いかもしれません。
そうすると後日談を行う際、より深い演出が期待できることでしょう。
たとえそれが悲劇的なものであったとしてもです。
彼女がどこまで情報を持っているのかは、キーパーの裁量によります。
もしかしたら知ってることなんてないかもしれませんし、毒の在り処という決定的な情報を持っているかもしれません。
ですが彼女は言うように命令されない限りはそういった情報も決して口にはしないでしょう。

 

5:西の部屋
西の部屋は綺麗な木製の扉となっています。
鍵などはかかっていないので難なく開けることが出来るでしょう。
この部屋は中央には小さな四足の古い机があり、その上にあるキャンドル皿に乗せられたろうそくがうっすらと部屋を照らしてます。
四隅には本が一杯に詰められた本棚が置いてある。
不思議な事にこの書物庫の本は、その探索者達の読みやすい母国語で書かれているので、誰でも手軽に文章を読むことができます。
もし探索者が複数居て、それぞれ別の国が母国の人同士がこの事実に気付いたならば、0/1の正気度ポイントを失います。
本棚にはいろんな本が丁寧に収められていますが、どれもジャンルがバラバラのものばかりとなっています。
ここで《図書館》ロールをして成功すると、『スープの夢について』と記された真っ黒な本を見つけます。
本はべったりと湿っていて、本に触れると僅かに甘い香りのする黒い液体が付着します。
《博物学》に成功したならば、この香りが花の蜜の香りに似ているという事に気付けます。
そしてこの液体をじっくり見た上で《医学÷2》もしくは《薬学》ロールに成功すると、この液体が何らかの猛毒であるという可能性に気付けます。
これは黒い蓮によって作られた毒薬で、非常に致死性が高いです。
触れただけなら害はありませんが、傷口からこの液体が流れ込んだりこの液体を体内に摂取してしまった場合、POT25との対抗ロールをすることとなります。
失敗した者は幻覚を見て、呼吸と心拍が激しくなっていき、一分以内に心臓は疲れ果て、即死する。
成功しても耐久力とCONの1/2を失い、更に毒薬が引き起こす幻覚から0/1の正気度ポイントを失う。
本の内容は、以下の通りの事だけが記されている。

真ん中の部屋・・・ちゃんとしたスープを飲まないと出られない。メモの裏にはスープの正体が記されている。
上の部屋・・・調味料や食器が沢山置いてある。ちょっとだけ予備のスープが鍋にある。
右の部屋・・・とっても良い子が待っている。いいものを持ってるよ。
左の部屋・・・本はとっても大事だから持ち出したら駄目。ろうそくはもってける。
下の部屋・・・神様が眠っている。毒の資料がある。番人は活きのいいものを食べなきゃいなくならない。
大事な事・・・死ぬ覚悟をして飲むように。

この中に記されているのは、どれも大事なヒントです。
真ん中の部屋のメモの裏のスープの正体というのは、『3:真ん中の部屋』に記載されている暖かい人間の血のスープという文章です。
上の部屋の予備のスープは、鍋にバラバラ死体と一緒に詰められている底に溜まった血です。
右の部屋のいいものとは、下僕が所持している22口径ショート・オートマチックです。
左の部屋は文字通り、本を持ってはいけずろうそくはどこにでも持って行けます。
下の部屋はチャウグナー・フォーンが不活性化状態で鎮座している事実を記し、番人が活きのいいものを食べない限り退散しない事も記してあります。
このように多少ぼかしてはありますが、本の情報は偽りのない確かなものです。
もっともそれを探索者やプレイヤーが信じるかどうかは、本人次第でしょう。
ロウソクは暗闇のマイナス補正を緩和してくれるが、制限時間が残り20~15分くらいになった頃にはなくなってしまう。
それまでに書物庫にこれない事があったりしたら、暗い中で書物を漁る羽目になるかもしれない。
もしなにか本を直接持ち出した場合、この部屋の扉が何度も開いたり閉じたりを繰り返すように動き出し、急に扉が溶け始めます。
そして不定形の黒いスライムのような物体となって襲いかかってきます。
このスライムを目撃した場合、1/1d10の正気度ポイントを失います。
このスライムは、本を持って部屋に戻ればすぐに元の木製の扉へと戻ります。
扉を破壊した上で本を持ち出しても、その部屋にあった別のものがスライムになって襲いかかってくるので注意しましょう。
スライムのステータスは以下の通りです。


本を守る黒いスライム(ツァトゥグァの無形の落とし子)
STR:23  DEX:16  INT:15
CON:18  POW:7
SIZ:20
H P:19  M P:7  回避:32  ダメージボーナス:+2d6
――――――――――――――――――――――――――
[技能]
隠れる:50% 忍び歩き:50%
――――――――――――――――――――――――――
・武器
鞭:90% (1d6 1d3人まで攻撃可能)
触肢:60% (db)
打突:20% (2d6)
噛みつき:30% (特殊)
・防具
彼らは物理的な武器からは影響を受けない。
魔力を付与されている武器であっても影響を受けない。
物理的な武器によってつけられた傷は、傷口が開いても、パッと閉じてしまう。
呪文は彼らに影響を与える。また火、化学薬品などの影響も受ける。

[プロフィール]
黒いスライムを見て失う正気度ポイントは1/1d10

噛み付かれるとそのまま飲み込まれ、毎ラウンド締めつけによって1ずつ上昇するダメージを受ける事になる。
飲み込まれてる犠牲者は何も出来ないが、怪物を何とかして殺して救出を試みることは出来る。
スライムは飲み込んだ獲物のSIZ合計が、自分のSIZと同じになるまで1ラウンドに一回の《噛みつき》を続けることが出来る。
ただし飲み込んだ場合、位置を変える時は飲み込んだものを吐き出す。


このスライムは探索者達にはほとんど勝目の無い相手だが、どうにかする手段は存在する。
それは本をすぐに部屋に戻すか、黒い本の液体を何とかして怪物の体内に流し込む事である。
本そのものを怪物に食べさせるか、本を持った探索者が噛みつきによって飲み込まれるのが効果的だろう。
CONロールに成功すれば即死し、失敗しても飲み込んだものを吐き出し、大きな隙を見せるかもしれない。
仮に誰かが飲み込まれた状態で本を部屋に戻しても、スライムは飲み込んだものを吐き出して元の動かない姿へと戻る。

 

6:北の部屋
北の部屋は、真っ白なドアノブなどがない、板のような押し扉となっています。
この部屋はとても綺麗な印象を受け、食器棚や調理台、ガスコンロや洗い場など様々なものがあります。
部屋は幾つもの豆電球が設置されていて、この部屋は真昼のようにずっと明るいです。
ガスコンロの上には蓋をしてある大きな鍋が置いてあり、その中はバラバラの死体で一杯になっています。
死体を目撃した探索者は1/1d6の正気度ポイントを失います。
この鍋の底には血が溜まっており、これはスープの予備になります。
ただし死体を目撃した上でそれを飲むとなると、それなりに正気度ポイントの消失も大きなものへ変わるかもしれません。
そして《目星》ロールに成功すると、調理台の隅に紙切れがあるのに気付きます。
内容は以下の通りです。

~大事な 調味料は 現在 在庫切れ~

この調味料というのは、実は真っ黒な本にべったりと付着しているあの黒い液体の事を指しているのです。
毒入りスープを飲まなければここからは逃げ出せないので、スープに自ら毒を注ぐ必要があるのです。
探索者はもしかすると、解毒剤が存在すると考えてる可能性もありますが。

食器棚に注目してみると、全ての食器が銀色である事に気付きます。
ここで《歴史》もしくは《オカルト》ロールに成功すると、銀には魔除けの力があり、高い精神力を象徴するものである事を知っています。
また、《地質学》や《薬学》などのロールに成功すると、銀は毒薬に多用された硫化ヒ素と合うと黒ずむ事から毒味に用いられてた事を知っているでしょう。
仮に技能で毒を見分けられなかったりした場合は、銀の食器を使うと良いでしょう。
黒い蓮にも反応は示すので、毒があるかどうかはすぐに確認が出来ます。
他にも包丁などのものは、簡易的な武器として扱えることでしょう。
最も、その武器が通用するものはほとんどいませんが。

 

7:南の部屋
南の部屋は、小窓付きの一回り大きな厚い鉄扉となっています。
扉越しに《聞き耳》ロールに成功した場合、部屋の向こうから何かの荒い呼吸音と、ズルズルという何か重いものを引きずるような音を耳にします。
これは礼拝室の万人を任されている狩り立てる恐怖が、部屋を這い回っているのです。
この大きな扉には小窓があり、そこから部屋の様子を確認することが出来ます。
もし小窓から中を確認すれば、ぼんやりと青白い部屋の中に一枚だけの翼を持った巨大なクサリヘビのような怪物の姿を確認するでしょう。
この怪物を目撃した探索者は0/1d10の正気度ポイントを喪失します。
更に薄暗い闇の中で任意のマイナス補正がかかった《目星》ロールに成功すると、部屋の奥に人間の体を持つ象のような何かの像を発見します。
これを目撃した探索者は更に0/1d6の正気度ポイントを失うでしょう。

この狩り立てる恐怖は、一人でも生きている人間を食べたら、部屋から居なくなる。
それまでは部屋に入ってきた者を容赦無く襲い、殺そうとしてくる。
人によっては、下僕の少女をわざと先に行かせて安全を確保するかもしれませんが、それも選択の一つかもしれないでしょう。
ただしそうしたら、部屋の中から彼女の初めて発する声、即ち断末魔が響き続ける事でしょう。
それは彼女が怪物に食い尽くされるまで、ずっと続きます。
この断末魔を耳にした探索者は最低でも0/1d2の正気度ポイントを喪失します。
彼女と親しくなってた人はもっと失う事でしょう。
また、この正気度喪失は死の間際を目にした時や、死体を目撃した時とは別物扱いとなります。
最も怪物に食べられたのなら、部屋にはべっとりとこびりついた新鮮な血の跡しか残らないかもしれません。


狩り立てる恐怖
STR:36  DEX:19  INT:17
CON:15  POW:25
SIZ:50
H P:33  M P:25  回避:38  ダメージボーナス:+4d6
――――――――――――――――――――――――――
[技能]
聞き耳:35% 目星:35% 追跡:35%
――――――――――――――――――――――――――
・武器
噛みつき:65% (1d6)
尾:90% (組み付き)
・防具
9ポイントの皮膚、弾丸は貫通出来ない

[プロフィール]
狩り立てる恐怖を見て失う正気度ポイントは0/1d10

狩り立てる恐怖は1ラウンドに尾と噛みつきの攻撃を一回ずつ行える。


毒を所有してたとしても、勝目は非常に薄いのでまともに戦おうとは考えないほうがいいかもしれません。
仮に殺す事が出来た場合は、この部屋の安全は一応確保出来ます。

この部屋の奥にある人の体を持った象の姿を模した不思議な像は、チャウグナー・フォーンそのものです。
一時間以内に毒入りスープを飲めなかった場合、チャウグナー・フォーンは活性化して探索者達の息の根を止めに行く。
このチャウグナー・フォーンの傍には、チャウグナー・フォーンについて記された石版があります。
石版の近くで《目星》ロールに成功したならば、そのすぐ近くに紙切れがあるのが確認できるでしょう。
紙切れの内容は、以下の通りです。

~真ん中の 弱々しい 太陽の中。
 もしくは 黒染めの 夢の知識。
 そこに 調味料は 隠れている~

これは真ん中の部屋の豆電球の中に黒い蓮の毒が入った小瓶が隠れているという事実を示しています。
加えて書物庫にある黒い本にも、黒い蓮の毒があるという事実も示しています。
豆電球を壊せば真ん中の部屋は真っ暗になりますが、小瓶を床に落とすことが出来ます。
黒い本ならば、本自体は持ち出せなくても毒だけを採取すれば問題なく行けるでしょう。

礼拝堂の奥にある石版は、5分ほどの時間をかければ読み解く事が出来ます。
そこには目の前の像がチャウグナー・フォーンと呼ばれる神であるという事実。
そして今居る世界がチャウグナー・フォーンの気まぐれで魅せられている夢であると事、その他この邪神に関する事が完結に記されています。
これを読み解いた探索者は1d3/1d6+1の正気度ポイントを失い、6%のクトゥルフ神話技能を会得します。

 

8:結末
すべての部屋を調べ終えた結果、探索者がどうなるかはその時によるでしょう。
大体は毒のスープを飲むか、タイムリミットになってしまいチャウグナー・フォーンに襲われてしまうかでしょう。
探索者は本、もしくは小瓶から毒を見つけ、毒入りスープを覚悟を決めて飲むかもしれません。
もしくは下僕が生きていれば、彼女に飲ませる可能性もあることでしょう。
この場合は毒入りスープを飲んだ探索者は『3:真ん中の部屋』に記された通りのスープの正気度喪失に加え、POT25との対抗ロールが発生します。(CON
対抗)
この毒は『5:西の部屋』にある黒い本に付着していた黒い蓮の毒薬と全く同じものです。
対抗に失敗した者は幻覚を見て、呼吸と心拍が激しくなっていき、一分以内に心臓は疲れ果て、即死する。
成功しても耐久力とCONの1/2を失い、更に毒薬が引き起こす幻覚から0/1の正気度ポイントを失う。
スープを全て飲み干し、毒の効果が発生し終えると、探索者達の視界は真っ白に染まり上がります。
そして吠えるような声で『勇敢なる者よ!現へと還るがいい!』と言う声が響いてきます。
次に目を覚ました時、探索者達は昨夜眠っていた場所で目を覚まし、無事朝を迎えます。
あの妙な部屋は何処にもなく、探索者達が夢の中で負った怪我は全て消えています。
それどころか、夢の中で死んだ探索者までもが無事に目を覚ますのです。

この悪夢から無事抜け出せた探索者は1d10の正気度を獲得します。
更に下僕の少女を死なせることなく抜け出せたならば1d6の正気度を獲得します。
しかし、夢の中でもし死んでしまったならば一度死という経験をしたことで1d10の正気度を失ってしまいます。
ただし毒のスープを自ら進んで飲み干した探索者に限っては、死亡によるマイナス報酬に加えて固定数値で5の正気度ポイントを差し上げましょう。
ただし死によるマイナス報酬は、良い結果でもマイナス報酬ということでプレイヤーがやるせない気持ちになるかもしれません。
なのでキーパーは場の空気次第では、死による1d10ポイントの正気度喪失はなしにしてしまいましょう。

もしも一時間以内に毒入りスープを作り出し飲み干せなかったならば、礼拝室のチャウグナー・フォーンは活性化してしまいます。
そしてすぐに起き上がり、探索者達のいる場所までやってくる事でしょう。
活性化したチャウグナー・フォーンを見た場合、1d4/2d6+1の正気度ポイントを喪失します。
チャウグナー・フォーンのステータスは以下の通りです。


チャウグナー・フォーン
STR:65  DEX:30  INT:25
CON:140  POW:35
SIZ:40
H P:90  M P:35  回避:60  ダメージボーナス:+6d6
――――――――――――――――――――――――――
・武器
組みつき:80% (《噛みつき》を行うために動けなくする)
噛みつきと吸引:100% (毎ラウンド1d6耐久力喪失)
心霊波を送る:100% (対象がチャウグナー・フォーンの夢を見、偉大さを感じるようになる。夢の虜になってしまうかもしれない)
心臓への攻撃:100% (特殊)
・防具
魔力を付与されていない武器や通常の機械的な装置ではダメージを与えることが出来ない。
魔力を付与された貫通武器に対しては、10ポイントの非常に強い皮で身を守る。
姿を消す前の15分間は、どんなに強い力に対しても抵抗することができる

呪文一覧
・神格との接触/チャウグナー・フォーン
・チャウグナー・フォーンの呪い
・チャウグナー・フォーンの兄弟の召喚/従属
そのほかキーパーが望む呪文

[プロフィール]
不活性状態のチャウグナー・フォーンを見て失う正気度ポイントは0/1d6。
生命を帯びて活性状態のチャウグナー・フォーンを見て失う正気度ポイントは1d4/2d6+1
変形させられたチャウグナー・フォーンのコンパニオンを見て失う正気度ポイントは1/1d6


夢から逃れられなかった探索者は、チャウグナー・フォーンが心臓に攻撃を行う事でいたぶられ、弄ばれます。
心臓に攻撃を受けて心臓発作が起こった場合、《CON×5》ロールを行わされる。
一回目のロールで失敗した場合、探索者は即死してしまう。
二回目のロールで失敗した場合、探索者は1d6の耐久力を失って意識不明に陥る。
どちらも成功したならば、ただ意識を失うだけで済むでしょう。
ただしチャウグナー・フォーンはキーパーの裁量次第では、もっと別の方法でいたぶって来るかもしれません。
例えば何らかの呪文をかけたり、心霊波を送ったりしてくるかもしれません。
少なくとも探索者が意識を失うまでいたぶられるか、チャウグナー・フォーンが満足すれば夢は終わります。
また、この時点で毒入りスープを飲んでも前述のように視界が真っ白になったりはしません。
時間内に毒入りスープを飲めなかったので、毒入りスープを飲み干したとしてもそれでは夢から覚められなくなってしまっているのです。
最も毒で死ねば邪神の攻撃で殺される前に夢から抜け出せれますが、毒が回り切るまで一分以内の時間がかかるので抜け出す前に殺されるかもしれません。

チャウグナー・フォーンに弄ばれた探索者は、意識を失うと同時に即座に昨夜眠っていた場所で目を覚まします。
チャウグナー・フォーンによってつけられた肉体的な障害やダメージは、目を覚ました後も残っています。
即ち心臓発作により即死した探索者は、現実でも心臓発作を起こして死んでしまっていますし、耐久力や何らかの能力値を奪われた探索者は失ったままとなっています。
ただし外見では傷は全くないので、応急手当や医学では回復することはできないでしょう。

恐ろしい邪神が活性化し、それに嬲られながら目を覚ました探索者は正気度報酬を得られず、1d6の正気度ポイントを喪失します。
咥えて心臓への攻撃とは違う要因で死ぬことで目を覚ました探索者は、1d10の正気度ポイントを喪失します。
時間内に毒入りスープを飲めなかった場合、前述にあった固定での5の正気度ポイントは与えられません。

 

9:悪夢は始まったばかり?
探索者はこの夢を始まりに、さらなる神話的恐怖へと引き込まれていくかもしれません。
もしかすると夢で出会った探索者達は現実でも出会うかもしれませんし、夢で見た神話生物を現実でも目にするかもしれません。
そして何よりもこの夢の被害者は、探索者だけとは限らないのです。
今回の悪夢で得た知識や経験が、新たなシナリオへときっと繋がる事でしょう。
少なくともこの悪夢で得たものは、全くの無意味ではないのは確かでしょう。
このシナリオを別のシナリオの布石にしたり、キャンペーンシナリオの最初のプロローグ的な扱いにしてみてもいいかもしれません。

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